【合格体験記】2次試験のポイント

加藤さんは、2次試験の直前が出張続きで非常に忙しかったようです。どのように過ごされて合格を獲得されたのでしょうか。


加藤広之さん(2019年WE合格)

2019年8月8日、一次試験に合格した日から、8月一杯は毎晩の様に祝杯続きでした。まずは自分の合格祝い。友達が合格する度に何人かで集まって飲めや歌えやの日々。新型コロナの影響で、それが無い今年の皆さんは大変だと思いますが、いつか心置きなく皆で集まって騒げる日が来ますのでそれまで暫しお待ちください。飲めや歌えや、といってもワイン受験をしている訳ですから飲み物は当然ワインですが、二次対策という感じではありませんでした。


本格的に二次対策を始めたのは9月に入ってからです。私は家でブラインドティスティングをする気になかなかなれず、ティスティングはADVの二次対策講座が中心でした。その他、ADV卒業生がやっているワインバーやレストランでブラインドティスティング会に時々参加していました。こういった講座を通じて、徐々に自信がついてきたのは事実です。ワインは20年以上親しんで来ましたが、どれを飲んでも大体美味しいと感じる程度の私が1~2ヶ月程度の勉強で品種が分かり、その品種の特徴となるようなコメントを選べ、アルコール度数や生産国、ビンテージが100%分かるようになれるかと言えば、それは所詮無理です。講座でブラインドティスティングをしても、品種が分かることもあれば、間違えることもある。80%位分かる時もあれば、全滅に近い時もありました。そういった意味では、試験当日でも確固足る自信と言えるようなものはありませんでした。そう思っていらっしゃる受験生の方も多いのではないかと思い、私がティスティングを重ねながらも特に受験を意識した二次対策を以下、簡単に申し上げます。どれも紫貴あき先生からよく伺っていたお話です。


1 基本品種を押さえる

やはり6大品種、これが基本だと思います。試験にはそれ以外も出題されますが、6大品種の中からは必ず出ます。2019年のソムリエ試験にはアリゴテが出題されましたが、大半の受験生は分からなかったのではないかと思います。でも大半の方が分かる6大品種は落としたくないと思いました。


2 品種当てではなく、コメントの選択が重要

6大品種とは言っても、ブラインドで品種を完璧に当てるのは難しいでしょう。でもコメント選択は8割方正解出来れば余裕の合格ラインですよね。それに6大品種の中でも、SBとRisのコメント、CSとSyのコメントはほぼ一緒です。CSかSyか迷っても、結果的に品種で間違えてもコメントはほとんど一緒ですから、気を楽にしてください。私の場合、CSとSyと迷った挙句、間違えてSyを選択してしまいましたが、コメントは恐らく大方正解だったのではないかと思います。私の友人で品種は全て間違えて合格した方もいますよ(笑)。


3 得意品種を赤白一つずつは持つ

何があってもこれは分かる、という品種を赤白一つずつは持つようにしました。私の場合は、白はSB、赤はPNの二つ。2019年のエキスパートではPNは出ませんでしたが、SBは出題されました。恥ずかしながら、私は4品種中、SB一種しか品種は当たりませんでした。

マイナー品種まで分かれば、それにこしたことはありませんが、パーフェクトを追求するより、自信を持てる品種を最低二つ、出来ればそれを少しでも増やしてゆくことが重要だと思います。


4 ドライティスティングを極める

極めるというと大げさですが、6大品種に関してのコメントは出来るだけ覚えるように努力しました。試験直前には、例えばリースリングと言ったら手が勝手にコメントを選ぶようになっていました。これは努力次第で正答率は格段に上がります。努力はウソをつきません。

などと偉そうなことをツラツラ書きましたが、言いたいのはティスティングの勉強をしていると時々迷路にはまってしまうので、出来るだけシンプルに整理することが大事だということです。恥ずかしながら、2019年の私の結果を振り返ってみると、

SB 〇 コメントもかなり正解だったのではないかと思います。

甲州  × 私のイメージしていた甲州よりかなりエレガントに感じて、これはシャブリかな?と思い、間違えました。ただ、甲州とシャブリのコメントは比較的似通っているのではないかと思います。

サンジョベーゼ × これは何かな??PNかな?でもグラスを横にしてワインの淵の色を見るとややオレンジがかっていました。それから、ややいい加減ですが、香りがイタリアっぽいな?と思いました。なんとネピオーロと書いてしまいました。恥ずかしい。

CS   ×   Syと間違えてしまいました。でもコメントはほぼ正解だったかなと思います。



その他のお酒は、ADVを卒業された先輩のお店で100種類以上のお酒を小瓶に移し替えるところから始まりました。100本以上の小瓶に入った蒸留酒と醸造酒の香りを日々最低二回は嗅ぎました。箱を二つ用意して、最初は全ての小瓶を左の箱へ、徐々に分かったものを右の箱に移すようにして、分からないお酒を絞り込むようにしました。最後の最後まで、10種類位あやふやなお酒がありましたが、これも完璧を求めると気が重くなってきますので、最後に残った10種類程度は諦めました(笑)。分かっているものを間違えないようにしよう、と割り切りました。


ところで余談ですが、私の二次試験はかなり厳しいスケジュールの中で行ったことを付記したいと思います。二次試験は、10月9日(水)。これは最初から決まっていたのですが、9月29日からニューヨーク出張があり10月4日(金)に帰国しました。往復の飛行機でブラインドティスティングに協力してくれたCAの皆様には感謝、感謝です。週末の5日、6日、ADVで模擬ティスティングをこなして、7日月曜日から大阪に出張しました。試験日の10月9日は大阪での仕事をこなして、山口に移動する日だったのです。忘れもしないホテル阪急インターナショナル。ちょっと仕事を抜け出して10時45分頃にホテルに着くと、当たり前ですが誰も知った顔はいません。ワイワイ話す言葉も何気なく関西の言葉です。なんでこんな日に当たってしまったのだろう「ニューオータニで皆と一緒に受けたかったなぁ」と弱気になる自分を奮い立たせ、試験会場に入場しました。試験終了後、東京で受験した皆さんは6~7人の仲間が集まって反省会をやっているようなので、電話をしましたが、なかなか取り合ってくれません。後で聞いたところ、皆さん、ダメだった~!と落ち込んで、茫然としていたようです。今年の受験者の皆さんにここまで過酷なスケジュールの方がいないことを祈るばかりです。後で皆さんからからかわれましたが、ホテル阪急インターナショナルで出たワインは決して薄味ではありませんでした(笑)。試験会場での私語は一切なく、大阪で受験された皆様のマナーの良さに感激しました。


余談ついでにもう一つ。私の所属していたスモールグループは全員合格して、あき先生から表彰され、豪華シャンパンを頂きました。お祝い会で頂いたあの味は忘れられません。ああいうお酒を美酒というのでしょうね。皆様も頑張ってください!


紫貴あき:夢を叶えるブログ

女性ソムリエ/ワイン講師 アカデミー・デユ・ヴァンや各種メディアでワインの魅力を発信中。 ーーーー 全国アドバイザーコンクール優勝 オーストリアコンクール優勝 ボルドーワインコンクール3位 WSET®スカラシップ受賞 全日本ソムリエコンクールセミファイナリスト ーーーー WSET®Diploma JSA認定 ソムリエ・エクセレンス ASI認定 国際ソムリエ 現在も夢に向かって邁進中

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