【合格体験記】試験終了の焦り

歯科医師として働く飯田さんは毎日ハードなスケジュールをこなされていました。そんな中でも作戦を練って、計画的に練習されていたようです。飯田さんは、試験当日の失敗談も教えてくださいました。それでも合格を勝ち取った飯田さん、どのように勉強されたのでしょう。

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皆様こんにちは

昨年エキスパートを受験しました飯田恵理子と申します。この度、二次試験の体験記を書かせていただくこととなりましたが、実は私はテイスティングがとても苦手だったのです。それまで、単に美味しくワインを楽しむ事が好きだった私にとって、テイスティングコメントを書く事は正直なところ苦痛でした。ワインを分析したり、感覚を言語化する事に慣れていなかったからだと思います。しかしながら、この資格はテイスティングは避けて通れません。


一次試験を通過した後、ようやくテイスティングに真剣に向き合う決意をした私は、苦手意識を克服できるように、なるべくストレスが少ない方法で二次試験対策をしようと考えました。そして自分の嗅覚に自信が無かったため、テイスティングそのものよりも、テイスティングのテクニックに重点を置くことにしました。


1、まずは6大品種に絞る

一次試験後の短期間であれこれやると、かえって迷いや焦りに繋がると思い、それ以外の品種はあえて手をつけない事にしました。これで、だいぶ気持ちが楽になりました。

それでも、6大品種の基本軸が自分の中にできてくると、そこから外れるものがわかるようになります。そして、テイスティング講座を繰り返し受けているうちに、甲州やミュスカデ、ガメイなどが徐々にわかるようになりました。

さらにそれ以外の品種については、6大品種の中のどれに近いか?と考え、それに近いコメントを選び、品種は当てられなくてもコメントで点数を稼げるようにしました。


2、ADVのテイスティング講座

休日はできる限りADVのテイスティング講座を受けに行くことにしました。8月後半から通い始め、全部で15コマほど行ったと思います。ワインの温度管理や小瓶に移す手間もないので、テイスティングだけに集中できるし、疑問が有ればその場ですぐに先生に質問して解決する事ができるので、大変効率的でした。

また、クラスメイトに会って近況報告や情報交換などができる事も励みとなり、苦手なテイスティングも仲間と一緒にやる事で、楽しく乗り越えられる気がしました。ワインバーでのブラインドテイスティングや、リキュールの講習会などにも、イベント感覚で参加しました。仕事帰りにブラインドでワインを出してくださるワインショップに行き、店員さんに教えていただくこともありました。おかげさまで1人で悩むことなく、頑張ることができたのだと思います。


3、テイスティングノート

紫貴先生のアドバイスに従い、1冊ノートを用意して、1ページ毎に日付とその日のテイスティング講座で学んだ事、先生の名前も書いていきました。何度か受講しているうちに、自分の感覚に近く、理解しやすい先生がわかってきます。また、一冊のノートにまとめておくことで、後で見直しが楽になるため、効率良く復習することができます。これは本当にやって良かったです。


4、ドライテイスティング

6大品種は飲まなくてもコメントをスラスラ書けるように練習しました。

また、品種がわからなかった時のために、白ならアロマティックorノンアロマティック、赤なら濃い赤or淡い赤、にざっくりと分けて、それぞれよく選ばれるコメントを調べて覚えました。また、多くの品種に当てはまるような無難なコメントを選ぶ練習をしました。


5、試験当日

こうして迎えた二次試験当日の話をしたいと思います。

白×2、赤×2、リキュールの5種類のテイスティング。一通り全ての回答を書き終えて見直しをしていた時のことです。

会場の照明がやや暗めだったためか、最初CSと回答した4番のワインが、終了間際に淡い赤のようにも見えてきて、あれ?なんか違う?と、焦り始めました。すると最初に感じた香りまでもがわからなくなり、迷いに迷って確信も持てないままPNに書き変えたところで試験時間が終了してしまいました。実は3番の赤もよくわからなくてPNと回答していたため、不本意ながら赤の回答がPNとPNになってしまったのです。それはもうパニックです。2つ同じ品種を書くなんて、我ながらあり得ない…と大変落ち込みました。憔悴しきった私に、正解がPNならば、2分の1の確率で当たってるよ、とクラスメイトが慰めの言葉をかけてくれましたが、その時はただ呆然とするしかありませんでした。結局正解にPNはなく、どちらも不正解。書き換えたワインは最初に回答していたCSでした

その経験から、最初の直感はとても大切だと感じました。焦ったり迷い出すと冷静な判断ができなくなってしまいます。

それから、いつも蛍光灯のような明るい照明の下でテイスティングを行っていたのですが、会場の照明が蛍光灯とは限りません。特に私の席は大きな会場の1番端だったので暗く感じたのかもしれませんが、色々な照明や明るさの下でワインの色を見る練習をすれば良かった、と思いました。

本当にお恥ずかしい失敗談ですが、この反省点がこれから受験される方の参考に少しでもなればと思います。

無事に合格できた今となっては、ピノピノ事件は笑い話です。

努力の日々も、素敵な思い出に変わります。

皆様も、ゴールまであと少しですので、是非頑張ってください。

皆様の合格を心よりお祈りしています。

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講師よりひとこと。

ワインは飲めば飲むほど、色が淡く見える傾向にあります。そのため終了直前に不安になって、外観を書き換えるばかりか、結論まで書き替えてしまう方が、今回の飯田さんに限らず毎年たくさんいらっしゃいます。わたしからのおすすめは「飲めば飲むほど色が淡く見える性質を知る」そのうえで、「最初に書いた外観は変えない」ということです。飯田さんは見事に合格されました。白ワインで好成績をとられたのと、コメントが良かったのだろと想像します。



紫貴あき:夢を叶えるブログ

女性ソムリエ/ワイン講師 アカデミー・デユ・ヴァンや各種メディアでワインの魅力を発信中。 ーーーー 全国アドバイザーコンクール優勝 オーストリアコンクール優勝 ボルドーワインコンクール3位 WSET®スカラシップ受賞 全日本ソムリエコンクールセミファイナリスト ーーーー WSET®Diploma JSA認定 ソムリエ・エクセレンス ASI認定 国際ソムリエ 現在も夢に向かって邁進中

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