【WSET Level3】合格体験記 Thirty Fiftyのフル活用

栗原美穂さん(2021年秋合格)


栗原さんは、1年前はJSA認定ワインエキスパートに合格されたばかり。Level2はご受講されないで、いきなりLevel3にご入学されましたが、着実にステップアップされ、見事に一発合格。いったいどのような準備をされたのでしょうか。


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この度 WSET level3 に合格することができました、栗原美穂と申します。私の学習体験が少しでも皆さまの参考になれば幸いです。


1. 授業を受ける前の準備

あき先生の授業では、丁寧な板書をしてくださいますが、時にノートを取ることに気を取られ、大切な話を聞き洩らしてしまうこともあります。特に受験クラスはスピードが速く内容も濃く、授業が終わるといつもぐったり…

ですが、今回のクラスでは授業内容についてのメモ書きを事前に送ってくださいました。これは大変ありがたく、とても有効でした。私は毎回このメモ書きを、自分のノートに書き写してから授業に臨むようにしました。そうすることで、授業中は話を聞くことに集中できます。

ポイントは「手書き」をすることです。WSET3の試験は、「紙の解答用紙に、鉛筆と消しゴムを使って文章を書く」という、記述式の問題があります。手書きはやってみると中々大変です。消しゴムのカスの煩わしさ、漢字の画数の多さ(栽培、醸造、貯蔵、乾燥 etc…灌漑にいたっては漢字は諦めました)カタカナ表記も、間違って記憶していることもありました。実際に手を動かすことで、こういった小さなことを確認しながら、書くことに慣れていくことができました。またこのメモ書きは、「6ファクターズ」に基づいて書かれています。環境、品種、栽培、、、というように毎回「同じ型」になっています。この「同じ型」を何度も繰り返し書くことは、試験本番にも役に立ちました


その他にも、テキストを事前に読んでおく電車移動の隙間時間で thirty fifty のフラッシュカードをやるなど、予習に力を入れて授業を受けるようにしていました。


2. 授業後の復習

授業後はなるべく時間が空かないうちに復習をします。宿題があれば、当日か次の日にはやっておくようにしました。時間があるから「後で」やろう、と思っていると、その「後で」は永遠にやってこないことが、自分の性格と経験から分かっていたのです。面倒だなと思ったときは、「本番中に助けてくれるのは、過去の自分だけ」というセリフを思い出し、試験本番中に泣きそうになっている自分を想像して、今できることをやっておこうと思うようにしました。



3.過去問がない問題

WSET は過去問が存在しないと言われています。ここがいちばんの悩みどころです。選択式問題はそれほど難しくないと言われています。問題は記述式です。私がとった対策は、「ネットで情報収集」「友人との情報交換」「thirty fifty フル活用」です。



4.記述式問題

WSET は過去問の口外は NG です。ですがインターネット検索で、無いなりに情報を得るとはできます。また、教室で知り合った友人たちの口コミも有効です。はっきりした情報が得られなくても、逆を言えば皆がその「ぼんやりとした情報」しか得られない状態で試験を受けているのだ、ということです。

その中ではっきりと得られる情報の一つは「thirty fifty」というサイトにある、練習問題と模擬試験です。これは有料ですので少し悩みましたが、元クラスメイトの「ワイン一本分の値段で貴重な情報が得られると思えば、高くないのでは」という意見に納得して購入することにしました。

5. 語学力問題

「thirty fifty」は英語のサイトです。ここで英語力の問題が出てきます。私の英語力は、質問文を読んで「こんな感じのことを聞いているのだな」ということがだいたい分かる程度ですが、問題なのは質問が分からない時です。分からない理由が、英語力不足なのか、ワインの知識不足なのか混乱してしまうのです。

そこで活用したのは、「翻訳サイト」です。google 翻訳、DeepL といったフリーの翻訳サイトを使って、thirty fifty の練習問題と模擬試験を翻訳し、さらにその翻訳結果を、普段、一番使い慣れている Excel に貼り付け、DropBox に保存する、という作業をすることにしまし。無料のサイトですので、ぎこちない日本語や明らかに違う表現になることもありますが、そこは割り切ることにしました。むしろ翻訳のおかしさに気づければ、ワインの知識不足ではなく、英語力不足だったのだ、ということになります。この問題を見ながら、紙に書くことができる環境の時は手書きで解答を書きます。日本語で繰り返し問題を解くことで、よく使う単語やフレーズがあることに気づくことができ、自分なりの解答を書けるようになってきました。

DropBox に保存すれば、パソコンからだけではなくスマートフォンからもアクセスできます。細かな操作はできなくても、思い立った時にすぐ中身を覗くくらいのことはできます。この方法を思いついたのは試験の1か月前くらいでしょうか。中々面倒な作業です。もう少し早くから始めていればよかったと思いました。

6.何をどこまで書くべきか問題

私はずっとこれに悩んでいました。質問に対してきちんと理由付けして説明しなさい、と言われますが、質問の仕方や相手によって説明の仕方が変わるのではないかと思ったのです。「ワインのことを知らない友人が理解できるように説明する」あるいは、「私これ理解してますよ、と採点者にアピールするつもりで説明する」などの方法を参考に、私は「ワインのことを知らない友人にここまで説明したらちょっと鬱陶しいだろうな」くらいを目指すことにしました。

また、悩める時間があるうちにとことん悩んでおこうと思いました。試験本番中に悩んでいる時間はありません。テキストの説明、先生の説明が、自分の言葉での説明になるよう、書いては悩み、テキストやノートを読み返し、また書き直すを繰り返しました。


7.出ると言われていることは一度書いてみる

授業中に、「はいここ試験に出ますよー」と言われることは必ず一度、自分で紙に書いてみることをお勧めします。私は、スパークリングワインの抜栓方法を頭では覚えているつもりでしたが、試しに書いてみようとしたところ上手く書けないことに、試験の前日気が付きました。慌ててノートに書きだし、当日試験に向かう電車の中でもひたすら唱えていました。これも早めに対処しておくことをお勧めします。

8. 試験本番

緊張しながらも、テイスティング、選択式問題はなんとかこなし、次は記述問題です。ところが書くべきことは頭では分かっているはずなのに、書き始めが上手くいきません。書いては消し、消しては書いてを繰り返し、消しゴムのカスがどんどん増えていきます。焦って一瞬頭の中が真っ白になってしまいました。これはまずい、落ち着いて、と自分に言い聞かせて、ぱっと頭に浮かんだのが、あき先生のメモ書きでした。「そうだ6ファクターズだ。まず環境から、、、」あとはもう夢中で書きました。過去の自分が助けてくれたと思った瞬間でした。


9.最後に

私は受験や資格試験などの辛いことはなるべく避けてきたタイプ。成功体験もそれほど多くなく、あまり自分に自信が持てずにいました。しかし今回試験に合格できたことで「こんな自分でも、頑張れば目的を達成することができる」という自信を得ることができました

また、あき先生に出会えたおかげで、大人の学びの楽しさを知りました。応援してくれ、励ましあえる友人たちにも出会え、人生が豊かになったと感じます。これからはもっと自由にワインを楽しみ、より豊かな人生を得られるよう勉強を続けたいと思います。

そして、家事も仕事も二の次でワイン沼にどっぷりはまったにもかかわらず、文句ひとつ言わずにいてくれた家族に感謝したいと思います。試験後のワインは格別です。現役受験生の皆さまのご健闘をお祈りしています.


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<講師からひと言>

お仕事をされながら勉強をすることは簡単ではありません。そんな中、素晴らしいです。今回、栗原さんの体験談で感心したのはThirty Fifty、Google翻訳、DeepL、DropBoxを使いこなし、隙間時間を見事に使われていたことです。なかなかマネできることではないなと思いました。「過去問がないから」と悩んでいる皆さんには是非参考にしていただきたい勉強法ですね。

紫貴あき:夢を叶えるブログ

女性ソムリエ/ワイン講師 アカデミー・デユ・ヴァンや各種メディアでワインの魅力を発信中。 ーーーー 全国アドバイザーコンクール優勝 オーストリアコンクール優勝 ボルドーワインコンクール3位 WSET®スカラシップ受賞 全日本ソムリエコンクールセミファイナリスト ーーーー WSET®Diploma JSA認定 ソムリエ・エクセレンス ASI認定 国際ソムリエ 現在も夢に向かって邁進中

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